…私はこの場所で全てをやり直そうと思ってたんだ。全てをリセットしてなかった事に。
でも、そんなの無理なんだ。過ぎてしまった日々を戻すことも、消し去ることも出来ない。
だって今の私は、過ぎてきた日々があったからこそ、存在するのだから。
土台のない所にいきなり“私”が出来るわけないのだから。


―――卒業式。
担任は入学式の時と同じように私服で参加している。

…せめてスーツぐらい着ようよ。
とも思うのだがこれも担任なりの主張なのかもしれない。人に判断されるのが嫌いな彼のポリシー。
そう言うものを持って生きられる担任だから私は惹かれたのだろう。


あっけないほど、式はすぐに終わった。
私は担任のもとへ歩いていった。


一つの言葉を伝えるために。

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