……え?

私は視線を上げた。
担任は窓の外を見ていた。

「…誰かにとっては無駄な道でも、オレにとっては無駄じゃないかもしれない。その判断はその道を選んだ人が決めるものだろ?」


…夕日が辺りを照らしていた。
オレンジの光に縁取られた担任の横顔が妙に切なく思えて、私は思わず口を開いていた。


「…そう…ですよね…。人も…理由も様々なのに…どうして一概の考え方しか出来ないんでしょうね…。」


担任は振り向いた。逆光で表情は見えなかったけど、その声は嬉しそうに、

「…やっぱ、ミッキーなら共感してくれると思った。」

…なんて言ったりするもんだから、私の中は、恥ずかしさとか、嬉しさとかごちゃ混ぜの気持ちで一杯になってしまった。


…なんでドキドキしてるんだ、私…っ!


暖かな光が射し込む空き教室で、私は恋に落ちてしまった…のかもしれない。

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