「どーするもこーするもないよね。オレには何もないんだから。」
寂しげな顔で自嘲的に笑った。
その笑顔はなんとなく私を悲しくさせた。
だって、
何もないのは私も同じなのだから…。
「…今更高校行ったってしょうがないだろって思ったよ。」
担任の話は続く。
「オレがこれから先、どんないい大学行っても、元・不良で、退学経験者ってことは付いて回るんだ。…今の世は“一般”から外れたヤツに厳しいからね。」
私は俯いてしまった。
…担任の話に自分を重ねてみていたのだ。
“私にも付いて回るのだろうか。この、外れた『道』を歩んだこと…”
今まで考えまいとしていた事に突き合わされ、深く、深く、落ちていく…。
『闇』。
漠然とした『不安』。
自分が何なのか、
何ができるのか、
何がしたいのか、
…わからない。
心が重く、沈んでいく。
「…世の中に無駄なことなんて一つもないのにね。」
不意に呟かれた言葉が胸に響いた。
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