ルカは生まれた時から“魔法使い”だった。
まして、感情に呼応するタイプの魔法使い。気に入らないなら『爆破』、泣き声は『拡大』するようなとんでもない赤ん坊だった。

物心つく前から魔法が使えた。
ルカにとって魔法は『空気』。
なくてはならないもの。

あって当たり前のもの。

魔法が使えなかったことは一度もないし、そんな自分を想像したこともなかった。


だから

『怖い』。

今のこの状況はとても

『心細い』。


今まで普通に出来たものが突然、出来なくなる。

それはルカを『不安』にさせた。
魔法が使えない自分など、とても“無力な存在”だから。
自分を守る術などなにもないのだから。

(人間は、不思議…。)

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