「えぇーと、姫?それは俺ですが俺ではないわけで…」

「…?言っている意味がわかりませんわ、バレス。」

「ここは」
ルカが横から説明をいれる。
「あなたの心の中です、ロザリア様。あなたには、これからご自分の心と向き合っていただきます。」

「私の心?向き合うって…なぜです?」
ロザリアは怪訝な表情で聞き返す。

「強くなるために…との王様の命です。」
ルカはたんたんと告げる。

「父様の…」
ロザリアは小さく呟いた。
ルカが続けて説明する。

「この空間に浮いている扉の中には、あなた自身で蓋をした過去の記憶や思考が入っています。扉の数はあなたが思い出したくないコトの数、そのままです。大抵、そういうものは、辛い事や恥ずかしい失敗、忌々しい記憶などですから、向き合うのは至難の業です。ですが、きちんと受け容れることが出来た時には、自分の力になります。…あなたは、いつか一国を背負っていく身。ゆるがない、強い心を手に入れるべきです。」

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