悠紀はバッと高瀬を見上げる。
(肯定するの!?)
目線で訴えかける。
その表情で高瀬はだいたいを察した。
「今朝、葵と挨拶に行ったんだ。会長同士、面通しはしておかないとな。その時、よろけたのを受け止めたから、移り香が残ったのだろう。」
そう言って悠紀の頭をポンポンと叩いた。
悠紀はばつの悪さに赤くなった。
「それにしても…香りだけでよくここまでネガティブになれるものだな。」
高瀬は苦笑した。
「私…初めて気付いて…自分がこんなにも独占欲強かったんだって…だから高瀬さんに知られたら嫌がられるんじゃ…、!」
高瀬は悠紀にみなまで言わせなかった。
唇を離して開口一番、高瀬は
「…悠紀、気付いてないのか?俺の方が相当独占欲も嫉妬心も強いよ?」
と言って笑う。
『だから誰にも渡してやらない。』
…耳元で囁やかれた言葉は、悠紀を真っ赤にさせるのに十分だった。
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