高瀬は腕組をして少し怖い顔をしていた。

「すみません…やっぱり副会長が授業サボるのは…まずいですよね…」
悠紀は立ち上がった。これ以上嫌われ要素は作りたくない。

(副会長としてもいらないって言われたら立ち直れない…)

「…いや、正直、授業なんかどうでもいい。」
高瀬はそう言うと悠紀に歩み寄る。グッと手を掴み、悠紀の体を壁に押しつけた。悠紀は高瀬の腕の囲いの中、逃げられない。

「…授業始まっても戻ってこないで…心配してれば、廊下を全速力で駆け抜けてくし…」
高瀬がため息混じりに言う。
「…追い掛けて来てみれば、ネガティブ思考にハマって泣いてるし。……誰が嫌いだなんて言った?」
高瀬は再び同じ問いをする。

「…言ってません…けど…鈴蘭の…香水が…」
悠紀は俯き加減に言う。

「香水?」
高瀬が聞き返す。

「鈴蘭の会長がつけてるのと…同じ香りが…しました…朝。」

悠紀の言葉に
「……鼻がいいな。」
と高瀬は言った。


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