(私は…っ高瀬さんを独占しようとしていた…っ)
パタパタと足音を響かせて駈けていく。
(代表なんて偽って…っ本当はただ…高瀬さんに近づくなって…っ)
A組はとっくに通り過ぎた。授業に出る気なんて起きない。
(あの人にあんなに嫌悪したのも…っもしかしたら抱きついたんじゃ…って…思った…からっ)
階段を駈け上がる。
(…取られちゃうんじゃないかって…思ったから…っ)
屋上の扉が見える。
(…私は…私は…っ)
バンッと勢い良く飛び込んだ。
「…嫉妬…して…たんだ……」
ハァハァ荒い息で、へたりこむ。
(こんな自分…知りたくなかった…。高瀬さんは私だけのものとか…そんなことを思ってしまう欲深い自分には…気付きたくなかった…)
「…なんなの…私っ…人に偏った…見方は…いけないとか…言ったくせにっ」
ゴロンと仰向けになった。額に腕をのせる。
(私は…自分の手を汚さずに、高瀬さんを私に…縛りつけようとしてた…っ)
「ハァ…一番偏ってるのは…私だ…。」
(こんな偏った愛情は…間違ってる…)
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