チャイムが鳴り響き、休み時間。悠紀はス…と立ち上がると教室を出ていった。葵は気になったが、相手は女子。トイレだったら失礼だと思い、どこへ行くのか聞けなかった。
悠紀は黒のプリーツを翻しながら進む。いつもはすれ違う人、総てが挨拶してくるのに、今日は張り詰めた感じで皆、声をかけることが出来ない。
悠紀の目的地は鈴蘭女学院に貸している第三校舎。
白いワンピース型の鈴蘭の制服を着た生徒を見付け、問う。普段の悠紀とはかけ離れた高圧的な言い方だった。
「失礼。鈴蘭女学院の生徒会長はどなた?」
…美人がそんな物言いをするのだ。あまりの似合い様にその女生徒はしばらく見惚れていた。それから我に返り言う。
「あ…っ、咲紅[サク]様です!」
「咲紅…。クラスはどちらかしら?」
「はい…。3ー白百合なので…3Fの小会議室だったと思います…。」
ぽーっと見つめながら言う。
悠紀は「ありがとう。」と高飛車に言うと三階へ向った。
女生徒はその後ろ姿をずっと見つめていた。
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