式場に足を踏み入れる。まだガランガランだ。そんな中、高瀬様は一番前の席に座っていた。
「高瀬様。」
椅子を回りこんで近づく。
「式辞、見せてもらえませんか。暗唱は難しいので、書き写してしまいたいのですが」
高瀬様はじーっと私を見た後、式辞ではなく、携帯を寄越した。
(…?携帯にメモってあるのか?)
私が携帯を見つめていると高瀬様は面倒くさげに言う。
「…録音すればいいだろう。父にはその方が効果がある。」
…なるほど。よく分かっていらっしゃる。
駿河様が実は親バカなことも、私の携帯に録音機能がないことも。
私は苦笑した。
「……お借りしますね。」
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