「秋彦、別の学校に行きたいというのは今すぐ転校したいと言う事ですか?」
雪也が聞く。秋彦は自分が言葉たらずだったことに気付いた。
「あ…!ううんっそうじゃなくて。このまま内部推薦で高校に進むのはいやだなぁって…」
再び騒ぎそうな気配を感じ、釘を刺しておく。
「それから、いじめとかが原因じゃないからね!」

姉達はひどく不満そうな顔をした。

「じゃあ、どうして別の所に…?他の高校じゃ、試験受けなきゃ入れないのよ?」
母がおずおずと聞く。

「うん、わかってる。でも音楽はもうやめたいかな…。僕、あんまり向いてないし…。普通科に行って視野を音楽以外にも広げて、本当にやりたい事探したい。…ダメかな?」
秋彦は首を傾げて尋ねる。

…家族は秋彦に甘かった。

(あぁ、もうっ可愛いわねっうちの秋ちゃんはっ)

「もちろんいいわ。秋ちゃんが考え抜いての事なんだろうし」
母は我が子をニコニコ笑顔で見ている。
「うんうん、そうだ。」
父は親バカ丸出しの表情だ…。

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