二人が指した先に居たのはいかつい人々。

「あれ、水上のボディガード。」
葵がさらっと言う。

「ええ!?」
秋彦が素っ頓狂な声を上げた。

「普段は父様の護衛をしてる方達なのですが…文化祭のような外に開かれた機会には危険も増えるからと…」
悠紀は苦笑いをした。

「毎年恒例なんだよぉ〜」
羽衣が言った。

「…まあ、水上に近寄れない理由はそれだけじゃないけどな。」
葵が呟く。

「うふふ。ものすごぉく独占欲強いナイトがいるもんねぇ」
羽衣が楽しそうに笑う。

「バッカ、お前、ナイトなんて格好いいもんじゃねぇよ。鋭い眼光!恐ろしいまでの威圧感!ありゃ、魔王だ。大魔王。」
葵が言い切った。


ハックシュ!


人気のなくなった廊下にくしゃみの音が響く。

(…誰か噂しているな。)

“大魔王”はホールへと向かう足を速めた。

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