4時。文化祭も終わりの時間。全校生が閉祭式のため移動する。

式典用ホールに向かう人波の中、秋彦はやっぱりゴシップ好きの生徒達に囲まれていた。
葵は悪友達に冷やかされてウンザリしてたし、羽衣は新聞部の追っかけから逃げるのに人混みを掻き分けなければならなかった。

そんな訳で、役員席に辿り着いた頃には三人ともグッタリして、制服もしわくちゃだった。

「お疲れさまです…大丈夫ですか…?」
悠紀が気の毒そうに声をかけた。見ると、悠紀は制服の乱れもなく、疲れた様子もない。

「あれ…?…ゆーさん無事なの?」
へたりこんでしまった秋彦が不思議そうに聞く。

「あったりまえだろ。水上をもみくちゃになんかできねぇよ。」
なぜか葵が答えた。

「そうそう!うっかり触りでもしたら後が怖いもんねっ。」
羽衣も同調する。
悠紀は曖昧に笑っている。

「んん?どういうこと?」
秋彦が首を傾げて言う。

『アレだよ。』
二人が入り口を指しながらハモった。

< 63 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム