――舞台裏――

「おーまーえーらー…」
葵が重低音で言う。

「なに人前でやってんだよっ!」
と葵が叱責しようとした時、

「でもぉ、客席からは好評だったよ?」
と、ひょこっと現れた羽衣が言った。

「あ゙!てめぇ、何で入ってきてんだっ」
関係者以外立入禁止だぞ!と、葵が怒鳴る。
それに羽衣は
「職権濫用したの。」
と、ケロッと答えた。

「とにかくぅ、今、外はこの話題でもちきりだよぉ?また新聞部の餌食だねぇ。」

「もう号外出たんか?」
葵がうんざりっと言う顔で聞く。

「んーん。出てないよぉ。新聞部の人は見てなかったみたいだから。でもぉ明日の学園新聞の一面は確実かなぁ?」


翌日、羽衣が言った通り、一面には…

《会長・副会長カップル、劇中に堂々“愛の劇場”》

《藤堂高瀬、父親相手に「離さない」宣言!!》

などの文字が躍っていた。

「新聞部のネットワークってすげぇな…」
新聞を見て、葵はぽつりと呟いた。

< 61>

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム