「ぅ…うわぁー!」

「!?」

高瀬父(藤堂駿河[トウドウ スルガ])は急に叫んだ。悠紀と高瀬は驚く。そして父が次に発した台詞は…

「お父様なんて言うなーっ!」



…ハイ?

意味がわからなくて戸惑っていると父の後ろに控えていた人物が進み出る。秘書の有明史[アリアケ フヒト]だ。

「悠紀さまは利緒様に似ておいでなので。」
有明が言う。


ますます意味不明…。

困惑顔の二人を置いて有明は続ける。
「利緒様…つまり悠紀さまのお母上に学生時代、社長は惚れていたのです。」

父は目を覆ってずっと、わーと言っている(聞きたくないなら耳を塞げよ…)。

「でも結局、振られたんですよねぇー?」
駿河の手をひっぺがし、にーっこり意地の悪い笑顔で有明は言う。

「それで似た顔、似た声の悠紀さまに呼ばれたくないんですよねぇ?お父様って。」
有明がどんどん追い詰めていく。
「それにぃ恋敵の水上様と親戚になりたくないってのもありますよねぇ?」

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