(高瀬さんがいらっしゃらない…?)
第一体育館。準備に追われるA組生を見渡して悠紀は気付いた。
あの、しっかり者の高瀬が時間通り来ないのはおかしい!と思った悠紀は委員長に断って捜しに行くことにした。
(やはり何かあったのでしょうか…)
悠紀は校舎をぐるっと回った挙げ句、高等部二階の渡り廊下で、高瀬を見つけた。
「高瀬さん。」
高瀬が振り向く。しかし悠紀は気付いた。高瀬は人と話中のようだ。
「ぁ…失礼しました…」
悠紀はそう言って引き下がろうとした。
グイッ!
しかしその腕は高瀬によって引き寄せられた。
「俺は!自分から悠紀を手放すつもりはありませんっ」
高瀬は目の前の男に強い語気で告げる。
悠紀は目を上げた。目の前にいたのは…
(ぁ…高瀬さんの……)
「…お父様。」
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