三人がB組目指して歩いていると、大きな荷物を抱えヨロヨロしてる女の子が一人。
(危なっかしいな…)
葵は思わず声をかけた。

「おい!あんた、大丈…」
葵は言葉を切った。振り返った女の子は羽衣だった。

「あー!葵!それにゆーちゃんとたーくん!みんなうちのクラス見にきたのぉー?」
羽衣は満面の笑顔で尋ねた。

「はい…っ。ですが、羽衣さん、この荷物は…?羽衣さんは接客のはずでは?」
悠紀は羽衣の抱える荷物を指して問う。

「あー…あのねぇ…ちょっとすごいことになっちゃって…」
羽衣は視線を迷わせながら歯切れ悪く言う。

「?なんや、すごいことって?」
葵が怪訝な表情で聞く。

「あー…見ればわかるよ!」
羽衣は早口にそう言うと、会話を切り上げ、先頭に立って歩きだした。
よろけるたび、長い髪とピンクと白のひらひら衣装が揺れる。

「あ〜っ!持ってやるよ!」
葵が焦れて手を出した。

< 43 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム