「…ようこそお越し下さいました。お嬢様は最上階におられます。正面の階段をお進み下さい。もし迷われた時、お帰りになられたい時にはこちらのボタンをお押し下さい。」
そう言って執事は小さなボタンの付いた鍵をそれぞれに渡した。
「こちら、当屋敷のマスターキーになります…では、ごゆっくりどうぞ。」
執事は深くお辞儀した。そのお辞儀に見送られるように三人は階段へと進んだ。

「…なるほど。オレらはおじょーサマとやらに会いに来た客人の設定なわけね。」
ポケットに手を突っ込み、階段を昇る葵が言う。
「ああ。それにこのボタンはGPSの発信機なのだろう。暗闇で人探しは大変だからな。」
高瀬が鍵を摘みながら相槌をうつ。
「だな。なんかあったときの責任が…」

まるで手品師の仕掛けをやる前から暴くかのような現実的な会話をする二人。それを…

「お二人とも冷めるようなことはおっしゃらないで下さい。」
吹雪が舞いそうなほど冷たい声で悠紀は止めた。

< 37 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム