2時。司会業を終え、悠紀が生徒会室に戻ってくると高瀬がいた。

「あ…高瀬さん。お疲れさまです。」
悠紀は微笑んで言った。

「…ああ。」
高瀬が答えた。

(高瀬さんと面と向かって話すのは久しぶりな気がします…)
そのせいか些か緊張してしまってぎこちない空気。沈黙が続く。

(な…なにか会話を…!)
話題という字が悠紀の頭の中をぐるぐる回る。

が、

(おっ思いつかない…)
悠紀は自分の話題性のなさにがっくりした。

ハァ…。
高瀬がため息をついた。思えば高瀬は沈黙でも気にしていないようだ。むしろ…

(それどころじゃない…?)
悠紀が何か問おうと口を開いた時、げっそりした葵が入ってきた。

「ん?おぉ…二人ともいたのか…」
葵が気付いて声をかける。

「えぇ…はい。お疲れさまです…」
悠紀は気になりながらも葵に振り向いた。

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