それからずっと高瀬は父に同じ質問を繰り返した。
"どうして悠紀じゃダメなのか"
「申し分ないでしょう。家柄・知性・容姿・作法・器量。悠紀以上の人はいないはずです。」
「あぁ確かに。だが、水上だ。」
父は水上の娘だからの一点張りでそれ以上言おうとはしなかった。
(だからっその理由を聞いてるんだろがっ!)
ふぅー…と高瀬は机に沈み込んでしまった。
「…高瀬さん、大丈夫ですか?お疲れなら少しお休みになられては…?」
悠紀が心配そうな面持ちで聞いた。高瀬はその声に顔を上げた。
「あぁ…大丈夫だ。心配しなくていい。」
高瀬は笑って言った。けれどその笑みに疲れたような影を見付け、やっぱり悠紀は心配になるのでした。
(疲れてる時くらい頼って下さってもよろしいのに…私ではお力になれないのでしょうか)
そう思い、悠紀も落ち込むのでした。
< 26 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム