それからずっと高瀬は父に同じ質問を繰り返した。

"どうして悠紀じゃダメなのか"

「申し分ないでしょう。家柄・知性・容姿・作法・器量。悠紀以上の人はいないはずです。」

「あぁ確かに。だが、水上だ。」

父は水上の娘だからの一点張りでそれ以上言おうとはしなかった。

(だからっその理由を聞いてるんだろがっ!)

ふぅー…と高瀬は机に沈み込んでしまった。

「…高瀬さん、大丈夫ですか?お疲れなら少しお休みになられては…?」
悠紀が心配そうな面持ちで聞いた。高瀬はその声に顔を上げた。

「あぁ…大丈夫だ。心配しなくていい。」
高瀬は笑って言った。けれどその笑みに疲れたような影を見付け、やっぱり悠紀は心配になるのでした。

(疲れてる時くらい頼って下さってもよろしいのに…私ではお力になれないのでしょうか)
そう思い、悠紀も落ち込むのでした。

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