「…失礼します。」
ぐったりした高瀬は理事長室に足を踏み入れた。
「あぁ…!藤堂君。疲れてるね…」
理事長は高瀬をみると気遣わしげに言った。

高瀬はここに来るまで、悠紀を校内から捜し出し、仕事を任せ、何かと意見を聞いて群がる生徒達を掻き分けて…、やっとのこと辿りついたのである。

(これでろくな用じゃなかったらはっ倒してやる…!)
という黒い想いを胸に、高瀬は聞いた。

「…何か御用ですか。」
不機嫌極まりない声である。
「あぁ、そんな!怖い顔をしないでくれ…っ。ただ君のお父上から連絡があってね。」

「父から?」

「うん。何度も君の携帯を鳴らしたらしいが繋がらないと言ってね。」
理事長が軽く微笑みながら言った。

(あぁ…そういえば…朝から鞄に入れっぱなしだ…)
高瀬はぼんやりと生徒会室に置きっぱなしの鞄を思い浮べた。

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