「私も特には…避暑地にある別荘はどれも改築中らしくて。」
悠紀が苦笑いを浮かべた。

「別荘かぁ。いいなぁ。羽衣ん家、別荘ないし!学校の研修所ならあるけどぉ」
羽衣はぐびーんと伸びをした。
「たーくん家もあるでしょ?別荘。あ!もしかして海外にもあったり!?」
羽衣が勢い込んで聞いた。
「あるが…別荘どころではないと思うが?」
高瀬がちょっと呆れた顔をして聞き返した。

「ん?どーゆーこと?」
羽衣はキョトンとした。高瀬はじろりと横目でにらんだ。

「……こんなに仕事が残っていて夏休みが送れると?」
高瀬は各自の机に山と積まれた書類を指差した。特に羽衣の所に大量に溜まっている。
「あー…うん…そうだねー…」
羽衣は抑揚のない声で言った。

(あーあ。夏休みも学校で過ごすのかぁ…クスン。)

< 14 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム