皆でお茶を飲みつつ、話題は夏休みのこと。
「ねぇねぇ!皆は夏休みどこか旅行行ったりするぅ?」
羽衣が元気よく聞いた。
「あ゙?行かねぇよ。暑いのヤだし。避暑地はどこも混むし。家族旅行って歳でもねぇしな。」
葵が答えた。
「あ、やっぱり?羽衣も、高校生なら友達と行ったらってママに言われたー。」羽衣が紅茶をストローで掻き混ぜながら言った。氷の音がカランカランと響いた。
「僕はウィーンまで行くよ?両親に会いに。今向こうでコンサートやってるから。」
秋彦が言った。
「えぇ〜いいなぁー海外。羽衣もどっか行きたぁい!」
羽衣はテーブルに突っ伏した。そして“かいがい”とコップの下にたまった水滴でテーブルに書いた。
「そんな行きてぇなら一人で行け、一人で。今の時期じゃ皆予定決まっちゃってんだろ。」
葵が紅茶を飲みながら言った。
「うー…
ゆーちゃんはどっか行く?」
羽衣はテーブルに付けた顔の向きを変えて聞いた。

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