「あー!ゆーちゃんおかえりぃ。パパの話ってなんだったぁ?」
羽衣が声をかけた。悠紀は今まで羽衣のパパ、つまり理事長に呼び出されていた。
「あ…文化祭に姉妹校の理事の方たちがいらっしゃるそうで、生徒会で案内をするようにと…」
悠紀は少し困ったような笑顔を浮かべた。

「はぁ〜?めんどくさっ!つか、姉妹校ってどっちのだ?」
葵が頭をかきかき尋ねた。

「それが…フランスの方で…」

悠紀が困った顔をしていたのはこのせいだ。
一ノ瀬学園はイギリスとフランスに姉妹校をもっている。が、学園ではフランス語の授業は行っていない。英語なら上流階級のたしなみとして不自由ないのだが…。

「あーだからだねぇー。パパ、フランス語できないもん。」
羽衣が言う。
「接客とかはいつもママがやるんだけど、文化祭の日はグランパに呼び出されてるから。」
“逃げたな”と言って羽衣は腕を組んだ。

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