私はそこにあった小石を思いきり蹴り飛ばした。
…忘れなきゃ。
どんなに後悔したってあの頃は帰ってこない。
だから前に進まなきゃ。

「…だったら、いつまでもここにいたらいけないょね」
私は呟き、家に帰ろぅと後ろを振り返った。

「…あれ?」
私はかなり間が抜けた声を出した。
見覚えがある男の子が一人、こっちに向かってきてる。
…あれって…
「夏川くん?!」
「……藍沢さん」
私が驚いて叫ぶと、夏川くんはしばらく沈黙した。多分、かなりびっくりしたからだと思う。
「「なんでここに…?」」
あっ…被った。
「私は…早退したから…」
なんか妙に照れくさくなって、うつむきながら私は言った。
「夏川くんは?」
「…サボリ」
夏川くんはあっさりと言った。彼は特に意識してないみたいだ。
「ダメじゃん…サボっちゃ」
「お前も似たようなもんだろぅ」
うーん…確かに。
けど…この人には負けたくない!
「私は『ココロの病気』っていぅ立派な病気なの!」
「……『ココロの病気』ねぇ…」
なんか意味ありげに彼は繰り返した。


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