「…一希…」
振り返れば一希がいた。
まっすぐに私を見つめている。
そんなに見ないで。
なんか怖いょ…
心の奥が読まれそぅで。
だから私はすぐに視線をそらした。
「どぅしたの?」
ちゃんと笑えてるかな?
一応、つくり笑顔をしてるつもりなんだけど。
「いや…何回も呼んでるのに無視するからさ…」
「あっ…ゴメン!気がつかなくて」
私は目をそらしながら言った。
顔を見たら泣いてしまぅと思うから。
「そっかぁ…大丈夫か?最近ボケーッとしてるみたいだけど」
大丈夫なわけないょ…
何でそんなに明るく話せるの?
「大丈夫なんじゃない?ボケーッとしてるのはもともとだから」
私はそっけなく言って、彼から離れた。
…限界だったからだ。
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