前の席には秋穂がいる。その後ろ姿がちょうど春華ちゃんにそっくりだった。
…『思い出の化学』。
そぅいぅ意味か…。
嫌なこと、思い出させてくれる。
私は斜め後ろでなにくわぬ顔をしてる奴を、思いきり睨んだ。
バレないよぅに、携帯を机の下に隠しながら、アイツにメールする。
『…で、何が言いたいの?』
返信は早かった。
『…あの時、どんな気持ちだったんだろぅって。知ってたょね?告ったこと』
…バレてる。まさか涙まで見られてないょね?
『知ってた。告ったことも、それより前から春華ちゃんが好きだったことも。…何で別れたの?』
しばらく、返って来なかった。
変なこと送ったからだろぅ。
『…好きな人ができたから…かな』
『また?目移りしやすいんだね』
『いや…本当はずっと前から気になってたんだけど…。』
『彼女が出来てからだったんだ?好きだって気づいたの』
『うん…けど春華のことを嫌いだったわけじゃないんだ。』
『もっと大切な人ができたんだ…。』
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