誰かがそれを拾おぅとしたが、その手を払いのけて、俺はそのチラシを取った。

…やっぱり。

それは茶道部のお茶会の案内のチラシだった。

「あっ…西崎くん!拾ってくれてありがとぅ!」
と、ちょっと抜けたよぅな声がした。アイツだ。このテンポは間違いない。
「あっ…どぅも」
頷いてから思ったのだが…なにか間違ってる会話だった。
顔をあげた時、パッと目があった。

…可愛い。

一目でそぅ思った。紺色の着物が、彼女の黒髪にすごくにあっている。これにはたいていの男が惚れたことだろぅ。

「すごく可愛いと思う」

思わず口に出た。

彼女は照れたよぅにうつむいて、
「彼女に怒られるょ!」
と言った。
その時、初めて春華のことを思い出した。

…そぅだ。俺には春華が…。

慌てて、このことは秘密にしておくよぅに言う。
「わかった」
うつむいたまま、頷き、そして顔をあげる。
「ありがとぅ!すごく嬉しい!」
笑顔で彼女は言った。

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