私はにぎやかな、模擬店のまわりを通りすぎ、食堂の陰の誰もいない場所に言った。そして、なんとなく石段に腰かけた。なんだか風景が、さっき着物を褒められた場所に似ている。

『すごく似合ってる。かなりカワイイと思う』

西崎くんの声が頭の中でよみがえる。そして、さっきの春華ちゃんとの楽しそぅな顔。あのカワイイ笑顔。

…何で?
なんであんなこと言ったの?
どぅでもいいって思ってるから…友達だと思ってるから?
あれが春華ちゃんだったら?
そしたらどぅしたの?
優しく抱き締めたかもしれない。もしかしたらキスしたかも…。

複雑な想いがだんだん悲しみに変わってきて、また涙が出そうになる。
…辛いな。
いい思い出になるはずだったのに。
もし、あなたに彼女がいなければ…

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