「着物ねぇ…誰のために着るんだか…」
沙紀が聞こえよがしに呟いた。
私はそれを無視した。
別に誰かのために着るわけじゃない。ただ茶道部だから着るのだ。
…まぁこれが春華ちゃんだったりすれば、話は別だろぅけど。

そぅ思いながら私は、一番前の春華ちゃんを見つめた。
春華ちゃんはまた笑っていた。

…可愛い。
なんでこぅも輝くのだろぅ。
たぶん『モノ』が違うんだ。
私なんかよりずっと恵まれてる。

…いいょね。
努力しなくても、可愛いんだから。
人の好きな人だって、取ることだってできるし。
私なんて努力しても…。

…ダメだ。
私、今すごく嫌なこと考えてる。
大丈夫ょ。
努力すればするだけ、幸せに近づくって言うし。
『誰にも負けない、絶対手に入れてみせる』ってくらい、強気でいかなきゃ!

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