「西村さん!」
気合いを入れてると、後ろから声がした。
「あっ…西崎くん!」
つい名前を呼んでしまった。
びっくりしたからだ。
「どぅしたの?」
「別にたいしたことじゃないんだけど…。西村さんって茶道部だょね?」
「うん…そぅだけど?」
もしかして来てくれるのかな?
なんて甘い期待をしながら、私は頷いた。
「そっか…西村さんもか…」
西崎くんは一人で納得している。
「何が?」
「いや…西村さんも、着物着るんだな…って。珍しいじゃん?そんな格好するの」
「どぅせ私は、春華ちゃんみたいに可憐じゃないから似合わないょ」
…こんなこと言うつもりじゃなかったのに。私、なに言ってるんだろぅ…
「そぅいぅ意味じゃないょ!ゴメン…」
あぁ…傷つけた。
「あやまらなくていいょ。気にしてないから」
…もっとマシな言いかたできないの?
上手く言葉が出てこない。
私はそのことが辛くなって、『今、忙しいから』と言って話をするのをやめた。

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