それから何回か飲んだ。私の家でも。誰かが来るのはいいことだ。家中が綺麗になるから。寝室はいいかと思ったが、一応掃除しておいた。期待していたわけではない。完璧にしたかったのだ。もしかしたら…、なにか、別の用で入ることがあるかもしれないから。

二人で飲んでいるとき、時間がすぎるのが早かった。藤野にひかれているのかもしれない。しかし、取り乱しもしなかったし、彼女にしてほしいとも思わなかった。藤野に恋人ができたら飲む相手がいなくなって寂しく思うだけだろう。まぁ、しばらくは寂しい思いをしないだろう。彼は恋人の存在を望んではいない。私も同じだ。お互いにそのことは知っていた。そのためだろう。よく、二人で笑いあえるのは。


< 10 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム