三日月の優しい光が空間を照らしている。

『素直になること』

青木先輩の言葉が胸の中でこだまする。

本当に意地っ張りで、あの頃のプライドを捨てきれずにいた。

高級なレストランで食事。
夜のドライブに夜景。
プレゼントはブランド物。

それで私は満たされていた。



……だけど、それは昔の話。




「真…」

「ん?」

「私も三日月が好き」


真は初めキョトンとしていたけど、私の意味深の笑みに口元を緩めた。


「俺も三日月が好きや」

「うん」

やっぱり月の光に照らされる真はどこか大人びて見えて魅力的。

乱れた髪を直しながら真は私の目をまっすぐ見る。


「なぁ、彼女になってくれへん?」


ニっと口角をあげて言う真に私は「はぁ?」と答える。

私と真の初めて交わした言葉。


「好きやねん」

「…今度はフリじゃないよね?」

「当たり前やん!」


私たちは、同じ公園で同じような夜空の下、同じようにキスをした。

ぎゅうっと抱きしめられた真の腕の中は大きくて、温かかった。

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