当然、あの人はあまりに突然のことに言葉が出ない様子だった。
そして真は大きく息を吸い、乱れた髪をかき上げながら言った。
「男の手はな、誰かを支えるためにあるねん!女一人守れん金持ちのボンボンがイキってんなっ!!」
そう叫んだ真の背中は男の子なんかじゃなく、広くて大きな男の人の背中だった。
私は真の言葉に目頭がツンと熱くなった。
相変わらず周りを気にせず大きな声を上げる真が……愛おしい。
「な、何だお前…?!」
我に返ったあの人はよろつきながら立ち上がり真の方へ歩み寄る。
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