「今の人…」


真は様子を伺うように小声で呟いた。私は下を向いたまま答える。



「高嶋さん。私がクビになった原因の男」


私がそう言った瞬間、風が吹いた。

本当に一瞬の出来事。

真はあのふわふわした髪を揺らしながら走って行き、なんとあの人の背中に跳び蹴りをおみまいしたのだ。

あの人は勢いよく地面に倒れ、隣にいた女は口元に手を当てて声をあげた。

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