そんな中、『不特定多数の男』の中にずっと入ってる人がいると言う。
写真を見せてもらったが、今までの由利のタイプとは少し違う気がした。
今まで由利が付き合ってきた人と言えば、ホストだったり、遊び人の学生だったり、胡散臭い概婚者だったり…。
あげていけばキリがないんだけど、とにかく派手でチャラ男っぽい人がほとんどだった。
しかし、写真に写ってる人は黒髪に少し茶色いメッシュの入った…誠実そうな人だった。
「男のくせに口うるさいの。"ふらふらするな"とか"ちゃんと真剣に考えろ"とか…一番うっとうしいタイプなんだけど、いつまでも携帯のメモリーに入ってるの」
ふふっと照れながら話す由利は色っぽくて、でもちょっと可愛い。
「私の携帯のメモリーには次々に知り合った男たちの名前が入っていく。だけど次々に消えていく。…あるとき気がついたの。コイツの名前だけは知り合ったときからずっと消えないで残ってるって」
話によると、その人はふらふらする由利をいつも叱ってくれるらしい。
傷ついたときも叱りながら慰めてくれるらしい。
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