『あ、りさこさん?』

「どうしたの?」

『どうしてるかなーって思って』

「ベランダで一服」

『わはは、かっこいー!』


真はいつも突然電話をかけてくる。………嫌じゃないけど。

暗くて低い都会の空に、煙草の煙が模様を描く。


『なぁ』

「何?」

『何か会いたいな』

「そう」

『"そう"って冷たいー!』


吐き出される煙は次から次ぎへと暗い空に溶け込んでゆく。


「明日のお昼から夕方までなら空いてるけど?」


真は急いで帰るからっと上機嫌で電話を切った。
その後しばらくの間、遠くを眺めていたから、煙草が短くなっていることに気づかず、少し火傷をしてしまった。



夜中に由利にメールを送った。


『私には冒険は向いてないみたい』

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