見栄っ張りで、意地っ張りな私だけど、真の前でなら少しだけ素直にいれる気がした。
年下にこんな風に思わされるなんて何かちょっと悔しいけど。
お腹がすいたと意見が一致し、夜中のファミレスへ足を運んだ。
いろんな話をしてくれた。
いろんな話を聞いてくれた。
ずっと前から知り合いだったかのように深い話なんかした。
面白くて声を出して笑った。
だけど、楽しい時間っていうのはあっという間に過ぎてしまうもの。
「もう4時やん!!」
携帯で時間を確認した真が驚きながら言った。
「帰ろっか」
「え?!」
「何よ?」
「夜はこれからやで」
「夜はもうほとんど終わりだと思うけど」
「………間違いない!よし、帰るか」
そう言って、あっさり席を立った真の背中を複雑な気持ちで見た。
少し期待してしまったから。
そんな自分に恥ずかしさがこみ上げてきて、真の一歩後ろを歩いた。
別れ際、「また連絡するし、りさこさんからもたまには連絡してな」っと笑って私の車を降りて行った。
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