「確かに今までの利砂子からしたら年下に振り回されてるなんてらしくない。想像もできなかった。でも、今の利砂子はもうあの会社の人間じゃないんだよ?」

由利の言葉にハッとした。
私はまた"周りのイメージ"にとらわれていた。
急に大人しくなった私を横目で見ながら由利は言葉を続けた。

「あの頃のプライドもイメージも、そろそろ切り捨てなきゃ。いいじゃない、年下でも。他が何て言おうと私は応援するからさ」

あぁ、由利だ。
真の人を受け入れてくれる温かさはどこか懐かしさのような不思議なものを感じていたが、きっと由利に似ているんだ。
会社をクビになり雨の中、夜の公園でただ呆然と立ち尽くす私のとこへ走ってかけつけてくれたのも由利だった。

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