いくつかのCDを手に取りながら森田くんはさり気なく聞いてきた。
「あの、余計なことかもしれないですけど…真とケンカでもしたんですか?」
「………あ〜」
心当たりはなくはない。と言うかむしろこの前のことが原因。忘れてたけど森田くんたちは私を真の彼女だと思っている。それが出会うきっかけだったのだけど…。
「ケンカって言うか……まぁ。真何か言ってた?」
あぁ、これではまさに彼女の言葉だ。
「んー何か"怒らせたかも"ってへこんでて」
どうりで最近コンビニに来ないわけだ。怒らせたなんて…私の方が気にするべきなのに。
「あいつ、人のことに何でも突っ込んでくるんですけど、それがいいとこでもあって悪いとこでもあって…何て言うか」
森田くんはうまく言葉がまとまらないと少し笑った。
「違うの、私が悪いの。ついかっとなっちゃって…その」
私もうまく言葉がまとまらないと笑った。"分かります"と森田くんは微笑んだ。
「プライドを持ってる人って意地が邪魔しますよね」
少し遠くを眺めながらの森田くんの言葉に、曇った顔をしていた私はぱっと顔を上げた。
< 37 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム