「そう…なの」

あのときの私はあまりにもマヌケな顔をしていたと思う。自分の心境にぴったり当てはまる言葉に驚いたから。

「俺も"先輩"って立場でサークル仕切ってたりするから、下からの意見に素直に賛同できなかったりして」

「………よく分かる」

「見栄っ張りな自分が嫌になります」

そう言って苦笑いをしながら4枚ほどのCDを手にレジの方へ歩き始めた。自分と似た森田くんの言葉に私は少し下を向いて小さく笑った。

「よかったらまたパーティー来てください」

「ありがとう」

私は一枚のCDを手にCDショップをあとにした。
信号待ちの車の中、私は携帯の画面に真の名前を浮かばせる。珍しくラジオをかけていると懐かしいあの洋楽の曲が流れた。

『真は"そんな先輩が俺はええんです"って言ってくれたんですけどね』
店を出て駐車場に向かう途中走って追いついて来た森田くんが照れくさそうに言った言葉。

信号が青に変わり車を走らせる。きれいな水色の晴れた空の下車の中ではあの洋楽が流れる。

「………やっぱりよく分からない曲」

そう言って私はふっと笑った。

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