会社の人たちからは『クールでかっこいい秘書』そうイメージづけられていたのは確か。それを私は悪い気がしなかったし、むしろ一目置かれているのだと自分の自信とプライドになっていた。だからそれを壊す言動はしたくなかった…できなかった。

「人からのイメージにはまってるのって疲れん?」

静かな部屋に真のいつもと違う真面目な声が響いた。

「別に。それにもう終わったことだからいいの」

出会ったときと同じようにツンとした感じで答えた。

「ふーん……まぁ、りさこさんがそんでいいならええけど」

それから真は黙りこくってしまった。私も何を話せばいいのか分からず沈黙をきる術がなかった。
カチ…カチ…っと秒針の音だけが鳴り響く。真の部屋に来たときは夕日色だった空も、もう真っ暗になっていた。

…分かってる。人目気にして何もできなかった自分が腹立たしい。真もきっと分かってる。でもだめなの。
"大人な恋愛してそう"
その言葉通りの私でいなきゃこわいから。怒鳴り込みに行ったり、すがりつくなんて…みっともないことができない。
いつからかプライドが素直な自分を邪魔するようになってた。

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