「なのに、取り引き先の専務との交際で私の今までのキャリアは全部水の泡!」
「……付き合ってただけなんやろ?何で?」
ハァーとため息混じりに私は答えた。今思うとただの愚痴にしか思えない。私も酔いが回っていたのかも…。
「将来は会社を継ぐ人だからね、余計なスキャンダルは困るのよ。たったそれだけで私は切り捨てられて今じゃただのコンビニの店員だもん。笑っちゃう」
「何か文句言ってやった?」
「忙しい人だから話す時間なんてなかった。もう連絡もつかないし」
「何それ、会社怒鳴り込みに行ったらよかったやん!」
「そんなのできるわけないでしょ、若い子みたいに感情にまかせて行動できる年じゃないし」
フッと鼻で笑うように言う自分に嫌気がさした。何てかわいくない言い方だろう。
グラスの中の氷がカランっと音をたてる。
「年とか…関係ないやん」
「私のイメージってものがあるの。"社長付き秘書の折原りさこ"これが周りからのイメージよ」
だめだ。一度喋りだしたら止まらない。どんどん高飛車になっていく自分を感じた。
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