そこで電話が切れ、私たちの関係も終わった。携帯を変えたのか連絡は一切つかない。そんな終わり方だった。
優しさがある人は温かい…本当にその通りだ。
「そういえば何で会社やめたん?」
「………。」
真の突然の質問に私は言葉が見つからなくて、しばらく沈黙が続いた。
「あー反省っ!」
「…は?」
「聞かれたくないことやった?俺すぐ何でも聞いてまうから」
「あ、別に…何て言うか」
「OK!この話はなし!うん!!」
「自己完結かいっ!!」
真は独特の空気を持っている。年下らしい…重苦しさがないっていうか。よく分からないけど落ち着くのだ。
「クビになったの」
「えぇ?!」
私の言葉に真は目を丸くした。
「クビって…りさこさんが!?」
「そう。私さぁー秘書やってたんだよね。毎日忙しくてヒールのかかとなんかすぐ擦り減っちゃうし、家でゆっくりしてる暇もなかった。それでも、あのオフィスをスーツきてヒールの音ならしながら走り回ってるのがプライドだったの」
「へぇ、何か想像できる」
ニカっと笑いながら聞いてくれる真を見て、私はつい話しを続けてしまった。
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