あの人の部屋とは対照的だ。
高いマンションの最上階、コンクリートの壁に都会の夜景を一望できる大きなガラス窓。大きなテレビに高級な皮のソファー、誰も使わない最新キッチン。デスクには山積みの書類や本。
落ち着いた大人な部屋だった。どちらの部屋も嫌いじゃない。
「はいよ、できたで」
真の声にハッとした。
過去に少し浸っている間にテーブルにはおいしそうな料理が準備されていた。
「うっそ、すごっ!」
「何がって、料理!上手じゃん」
「わはは、まかせて」
あっさり系のパスタに煮込みハンバーグにツナとコーンのサラダ。
こんな本格的な料理を作る男の人は初めてで、何かよく分からないけど感動してしまった。
しかも驚いたのは見た目だけではなかった。料理を口にはこんで一言。
「うわ、おいしーい!」
「うわって何やねん」
「おいしいんだけど!何で?!」
「わはは、まかせろって」
味もばっちりで本当に驚いた。『何ならコンビニに売り出そーか』と真が冗談混じりに言ったけど私は本気でアリだと思った。真面目な顔をしてそう言う私に、真は少し照れながら『おおきに!』とまたあの笑顔を見せた。
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