下ではあまり感じなかった風が五階は少し強く感じた。
ほんのりいい香りがする…私より風上にいる真の香水だ。年下らしい飾った感のない甘い香り。あのセレブな専務はブランドの高そうなきっつい香水をつけていたっけ。嫌いじゃなかったけど、真の香水も嫌いじゃない。

ガチャ―‥

「はい、靴ぬいで」

「あ〜おかまいなく〜」

「いやいや、靴はちゃんとぬいで」

引きずりながら真をベットまで運ぶ。気持ち良さそうにすやすやと寝ている。年下の男を部屋に入れるのは初めてかもしるない。あの人は…私より先に寝ない人だった。いつも私が先に寝てしまうから、寝顔なんて滅多に見たことなかったっけ。
男の寝顔ってちょっと可愛いんだな。…なんて思いながらソファーに横になった。


眩しい光が差し込む。
テーブルには朝食。
珍しく二人分並んでいる。
真はまだ寝ている。
二人分朝食を作るなんてどうかしてる。別に一緒に食べたいわけじゃない。自分の分だけ作るっていうのは感じ悪いじゃない?それだけよ、きっと。

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