「俺秘かに憧れてたんすよ」

みんなが踊って盛り上がってるのをカウンターから眺めていた私の隣で"先輩"の男が言った。

「えぇ?こんなおばさんに?」

「そんな年変わらないじゃないですかー。シンの彼女だとは驚いたな」

「あはは」

ただしくは彼女のフリだけどね。学生に好意をもたれるとは私もまだまだすてたもんじゃない。
なんて思ってみたり。

「シンのどこがよかったんですか?あいつバカでしょー?笑」

笑いながらの質問に私は動揺しているのを悟られないように必死で言葉を考えた。

「そのバカなところが結構ハマってるの。あと…気がきくとこ」

会計の後いつも"おおきに"と言う真が思い浮かんだ。普通のことなんだろうが、最近の若い子にしては珍しかった。
特にセレブな世界で過ごしていた私は若い子との交流がなかったから、"最近の若い子"にいいイメージがなかったのだ。

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