「何で私の名前知ってるの」

「あ、俺は真(しん)。呼び捨てでOKなんで!及川さんの下の名前は?」

「利砂子(りさこ)だけど…だから何で名前知ってるの!」

「だって名札に名字書いてあるやん」

なるほど、と煙草の火を消した。あー、関西人って本当マイペースっていうか…。元キャリアウーマンのこの情けない姿。

「実はサークルの先輩ら主催のパーティーがあって。あ、パーティーって言うてもそんな大げさなもんやないんやけど!…そんで、酔ってた勢いで美人な年上彼女連れて行く言うてしもて…」

苦笑いをする真に私は容赦なく鋭い一言を浴びせる。

「ばかだろ」

おっしゃる通りです、という風に肩を小さくすくめながら相変わらず苦笑いを浮かべていた。

「先輩とか友達もみんな彼女連れて来るみたいで、俺こっちに年上の知り合いとかまだおらへんから…まぁ、それで」

「あのねぇ、私を一万で買おうっての?私はそんな安い女じゃないの」

「学生は金がなくて…」

「だからってねー…」

私が言いかけたところで、真の携帯が鳴った。携帯の画面を見て何やら慌てて電話にでた真。

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