「あれ?」
その数人の若者たちの顔に見覚えがある。見た目は少し変わった者もいるが面影がある。
そうだ、俺が生きていた頃つるんでた友達だ。
少し懐かしさがこみ上げた。
ほろよく酔いがまわって上機嫌そうに笑っている。相変わらずだな、とその光景を見下ろす。
そのときあいつらは思いもよらない言葉を口にした。
「しょーーーーーーう!何でなんだよーー!!」
「帰って来いばかヤロー!!!」
酔っぱらっている奴は次々に俺の名前を叫んだ。俺はその光景が信じられなかった。もう二年も経ってるんだ。忘れてるやつもいるかもしれない、とっくに思い出になっている…そう思ってたのに、まだ俺の名前を呼んでいる。女は涙を浮かべている。何だよ、俺は退屈だと思ってたのに…周りの友達さえもうわべっ面だけのつまんねー奴らだとさえ思っていたのに。
ハッとした。
そうか、俺の命日だ。
俺は自分のことだけしか考えてなくて、残される側の気持ちなんてかやのそとだった。あいつらを傷つけてしまったことに今更ながらに気づいた。
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