話し終えた後、私は自己嫌悪におちいった。
【何やってんだろ…身知らずの人にこんなにペラペラ喋って…ばかみたい。】
はぁーっとため息をつくと、男は煙草を地面に擦り付けようやく口を開いた。
「身内や周りの奴よりは話しやすいだろ?」
……………。
「あなた不思議な人ね。さっきから心を見透かされてるみたい」
「そーか?……まぁ、結論を言わせてもらうと、やっぱお前は逃げてるだけだな」
むかっときたけれど、始めほどの怒りはなかった。冷静に話を聞いてる自分が不思議だった。
「何よ…どーゆー意味」
「親に見離されても、友達が離れていっても、そんなの跳ねとばしちまえ!辛くても人間は生きなきゃなんねーんだよ」
男はすくっと立ち上がり、空を見上げながらそう言った。
「…………何で生きなきゃなんないの?」
「さぁ?」
「さぁって…」
「『何で、何のために生きるのか』そんな問い掛けをするお前は生きている」
男の言葉にはっとした。風が吹いた。その風は私の心をきれいに洗い流してくれた気がした。

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